
私が会計士としてのキャリアをスタートさせた当時,銀行の抱える不良債権が大きな社会問題となっていました。
不良債権による損失によって資本不足に陥った銀行を実質国有化するなどといった事件が起こり,新人であった私も,そのような案件に関与する機会が多くありました。
その当時の社会の論調は,何十兆円という不良債権を早期に「処理」しなければならない,というものだったと記憶しています。しかし,不良債権は,会計上は「処理」するものであっても,その金額が数字として観念的にのみ存在しているものではありません。その背後には債務者や保証人,また,債務者が会社であればその従業員や取引先,さらには銀行の担当者といった人たちの家族の生活が現実に存在しているのです。
事件を単に「処理」するのでなく,一つの案件の中に多くの人生が関わっている,このことを常に意識できる専門家になりたいと考えています。


